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2007-03-26

快速急行

ほころび始める花と、

皿のような三日月と、

化学物質の甘い香り。

ここを抜け出したいなら、

相応の覚悟が必要だよ。

今飛び乗ったその列車が、

目的地で停車するとは限らないから。





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2007-03-22

ボンゴレのこと。

「もう全部なかったことにしたい」

そんな話を聴きながら、

私は昔食べたボンゴレのことを思い出していた。

そう、ボンゴレだったな。夕飯は。

結構頑張って食べたんだ。

全然食欲なんて無かったけど、

平静装って、半分までは詰め込んだんだ。

誰にも気づかれたくなかった。恐ろしいくらい自制が利いた。

あの頃強かったな。強かったのかな。ただの意地かな。

無理矢理フォークを口に運ぶ自分の姿を微笑ましく思う。

そしてそんな風に思われていることなど露ほども知らない、

あの頃の私がまだボンゴレを口に運んでいる。平気な顔して。





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2007-03-17

見つめたいもの。

私の隣に居る人は、

街中で、よく子供に見つめられる。

抱っこしてるお母さんの肩越しから、とか、

ベビーカーから身を乗り出して、とか、

とにかくじっと、時間が止まったように、彼を見る。

そして今日はついに、犬にまで見つめられた。

「なぜなんだろうね」 心当たりはないらしいのだけれど。

でも何となく、わかるような気がするよ。

私も何故か、じっと見たくなっちゃうんだもの。





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2007-03-15

アメリカという名の本へ。

買った本を、

袋に入れたままにしておくなんて不幸だ。

本当はこのまま寝ないで、

一晩じっくり向き合いたい。

そんな贅沢な時間を、

今にきっと再び手に入れる。それまで待ってて。





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2007-03-12

Adore

美しすぎて、

もう何も言えない。

言わない方がきっと良い。

もう、何もしなくて良いんじゃないかって、

これがあるならもう充分じゃないかって、

何もする気が起きない。呼吸すら控えたい。

余りにも美しい。君はしなやかな仕草で、

僕の虚栄心を、それは見事に剥ぎ取っていく。





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2007-03-11

プレゼント

他人が何を欲しがっているのか、

考えるのがとても難しい。

考えてわかるものでもないし。

他人の心に擦り寄るのは、物凄く根気のいることで。

人一倍面倒臭がりな私は、疲れ果ててそれを放棄してしまう。

「気負いすぎだよ」

うん、そうかもしれない。きっと簡単なことなのに。

気負いすぎて面倒になって、結局止めてしまったりして。

だけど本当は私、ただ物凄く、貴方に喜んでほしいのです。





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ふと気づく、中央線の夜。

ただひたすら闇雲に走って、

結局何も実らなかったのだ、と思っていたけど。

何の役にも立たないロクデナシ、

などと罵っていたのだけど。

何も手に入らなかった、わけじゃなかった。

この手で残したものが確かにある。

誰一人欲しがらないけど、

私は、それが欲しかったんだもの。





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2007-03-08

殆ど眠りながら聞く話。

君の言うことは、

僕が昔よく見た夢と何処か似ているよ。

途方もなく馬鹿げていて。

時に恐ろしいほど現実的で。

ある日、空から真っ逆様に堕ちて背中を打った。

その時の痕が、ほら

今も消えずに残っているんだ。





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流星群

流星群を観に行こう。

スタンガンを持ってさ。

邪魔する奴は、こいつで一撃。

奴の身体から火花が散って、

二人の頭に星が降る。





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2007-03-07

利き茶

昨日は、金木犀のお茶。

今日は、桜のお茶。

花の香りで少しだけ思い出しそうになるけど、

思わず何かを言ってしまいたくなるけど、

その後どんな顔をするか、もうわかってしまっているから。


このまま、一息に飲み干してしまえ。





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2007-03-05

ミキサー

別に飢えてるわけじゃないけど、

何となく口寂しいから、何でもかんでも放り込むよ。

甘い砂糖菓子から、スパイシーなカクテルまで、

フルコースにジャンクフード、懐石料理、

パスタに駄菓子にカフェ・マキアート、

手当たり次第に詰め込んだら、ひたすら頭を

振る、振る、振る、振る、振る、振る、振る、

訳が分からなくなるくらい、だって、

訳分からなくなりたいから。





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理由

誰かの話で、泣いたりするのは傲慢だ。

その痛みの1/10も知らないのに、

解ったような顔をして泣いたりするのは、

何か違う、気がして、嫌だ。

彼女が何を思ってその歌を歌っているのか、私は知らない。

だから私は泣いてはいけない。のに、

排出しない分、体内に蓄積されて、余計に離れない。

彼女は何故歌うのだろう。私は何故こんなに憂鬱なのだろう。

そのどちらも私は知らない。所詮、知る由もないのだ。





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2007-03-02

ワレモノ

「壊すのは簡単だよ」

誰かがそう言った。

一瞬で終わるから、って。

そうかな。私には難しいよ。

お皿一枚割っただけで、とてつもない罪悪感に苛まれる。

大抵のものは黙っていても壊れてしまうから、

出来るだけ壊れていかないように、大切に扱うよ。

腫れ物に触るような日常。

それでも壊れていってしまったもの達のことを、

ときどき、ぼんやり考えてみる。

使わないうちに割ってしまったティーカップの欠片を、

まだ捨てられずにいるように。





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