2008-01-29

壊れた君と、甘く傲慢な僕の夢

君の奥に巣食っている重く鈍い痛みは
僕には決して知ることのないものだから
君が今も思い出しては怯えるあの夜にさえ
僕は何も知らずにただ笑っていられた

「君を必ず救ってあげる」などと言う奴らは
ほんの一瞬気に止めてまたすぐに忘れるから
君を慰める振りをする無数の声に
交わるのが怖くて 黙って耳を塞いだ

僕が両手を差し伸べ
君は再び微笑む
そんな甘やかな夢に微睡むけれど
朝には全て忘れてしまうだろう

世界がもし時計仕掛けの玩具みたいに
誰もが同じ時刻に泣き怒り笑いするのなら
「思いやり」
などという概念は消滅してしまうくらい
思いやりで埋め尽くされた世界になるだろう

僕の呟く言葉で
世界が正しく廻り出す
そんな思い上がりを嘲るように
時計仕掛けのベルが覚ましてしまう

君は再び微笑み
世界が正しく廻り出す
そんな幼い夢を願ってみても
朝には全て嘘になるから
どうかこの僕を信じたりしないで

君の奥に巣食ってる重く鈍い痛みを
僕が知ることは多分この先もないから
君があの夜を思い出して今も怯えていたとしても
僕はそれを知らないまま笑ってるだろう





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球体のある風景

何にもない所で 何かするでもなくて
そこに並ぶ風景を ただ視界に入れてる
何でもない場所で 何となく一人ぼっちで
初めての街並も 懐かしさ覚える

道に迷っている時は 「生きてる」 そう感じる
慣れすぎた道へ戻れば また埋もれていく

北も西もわからずに ただ前へ歩いていく
時が咎めることもない 乾いた自由だ


各駅停車の波に 揺り起こされて
窓に自分が映る 昨日の横顔が映る

自分を探す為だとか 立派な理由じゃなく
打ち寄せる心細さも 時には必要だ


愚かに見える回り道も 一つの歩き方
明日の居場所は見えなくても いつか辿り着く

道なき道も歩いていけば やがては海に出る
海を渡ればまたここへ 全ては繋がってる


歩く 孤独 共に 歩く
球体の見える場所まで

放つ 呼吸 何処に 届く
球体と廻る僕が





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シャーベット

顔を見れば 悪口
手を握れば 冗談になる
掴めないなら捨ててしまえ でも
まだ遊んでいた

君と僕は 友達
敢えて言えば それだけのこと
口にすれば消えてしまうから
ただ笑っていた

曖昧な温度は長くは続かないから
オレンジのシャーベットみたいで 綺麗

流れていけば それきり
固く誓えば わずらわしい
いつか融けるなら食べてしまえ でも
ただ見蕩れていた

曖昧な温度はまだ居心地が良いから
気づかない振りで今日もまた会おう

触れ合うには 幼く
じゃれ合うだけなら もどかしい
いつか消えるなら告げてしまえ でも
まだ遊んでいたいな





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ミルク

今日はよく晴れた日なのに
君は鳴いているのなら あげよう
今日限りの優しさを

さっきたまたまミルクを手に入れて
君がそれを欲するなら あげよう
その場限りの慰めを

腕輪に誓えるだけの強い意志など持てず
綺麗な羽根で飾るほどの慈悲深さもなく

施したことを忘れてしまうくらい
ささやかな恵みを置いていこう
白いお皿に数滴のミルクを
今日限りの優しさを





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